先日、友人に以下のような相談をされました。
「上司から、『これから毎週、会社のブログ記事を書け』と言われたが、何をどう書けばいいのか分からない」と。
一応、ざっくりとしたテーマは与えられているので、ひとまずそのテーマに関する情報をひたすら集めたそうなのですが、そこからどう記事を書いていけばいいかが分からず止まっている状態だそうです。
確かに、今までまともに文章を書いた経験がない人が、いきなり「仕事でブログ記事を書く」というのは結構ムズカシイものです。
まして、そんな状態で、読み手に「なるほど!」と言ってもらえるような“伝わる文章”を自力で書くというのは、ほぼ不可能といえるでしょう。
試しに、このような悩みを持つ人が他にもいないか「ブログ記事 書き方」等のキーワードでYahoo!知恵袋で調べてみると、そこそこ質問がヒットしました。
同様の課題に頭を抱える人は、案外多いのかもしれません・・・。
ブログの書き方を教えてください!!
会社で集客のためブログを書くことになりました。
そこで今回は、私が友人にも教えた「伝わる文章を書くために必要な6つの要素」をご紹介します。
これを意識して文章を書くようにすれば、「どう書いていいか分からない」と迷うことも少なくなって、今よりもっと伝わる、説得力のある記事が書けるようになるかもしれません。
伝わる文章を書くために必要な6つの要素
いわゆる、「説得力のある伝わる文章」には、大抵は以下にあげる6つの要素が含まれています。
- 主張
- 事実
- 理由
- 主張の程度
- 理由の裏付け
- 再反論
順番に解説していきます。
1. 主張
まず、書き手が記事を通して伝えたいこと・・・つまり「主張」が必ず必要です。
この記事で一番伝えたいことは何か?それを伝えた結果、読んだ人に何をして欲しいのか?
主張は、記事の「結論」とも言い替えられますが、この主張が曖昧だと、読み手も「イマイチ何が言いたいのか分からない記事だった」と感じることになってしまいます。
2. 事実
1.の「主張」をするにいたった出来事や、背景となった「事実」を書きます。
そうすることで、読み手も同じ出来事や背景をイメージして記事を読めるので、より理解や共感が得られやすい状況ができあがります。
客観的な「事実」があることで、読み手にとっても「“自分事”になりやすくなる」といえますね。
3. 理由
「1. 主張」には「なぜその主張ができるのか?」という「理由」が必要です。
理由が抜けた落ちた主張では、読み手を「なるほど!」と納得させることは難しく、場当たり的な思いつきと大差ありません。
(※もちろん「理由」が、“一般常識レベルの当たり前”のことである場合においては省略してもOK)
では、例として、ここまでの3つの要素を「ハリーは英国人である」というごく簡単な「主張」で書いてみます。
事実ハリーはバミューダ島で生まれた。
主張だから、ハリーは英国人である。
理由なぜなら、バミューダ島で生まれた者は原則として英国人となるから。
上記のように、「主張」「事実」「理由」の3つは「伝わる文章」を書くために最低限必要な要素です。
さらに、文章をもっと伝わる説得力あるものにするためには、以下に続く3つの要素を意識し、論理を補強する必要があります。
4. 主張の程度
「1. 主張」は、「程度」を表す表現をいれることで、より具体性が増したものとなります。
「程度を表す表現」とは、例えば「絶対」や「ほとんど」といった言葉のほか、パーセンテージなどの「数字」を使った表現のことです。
ハリーは、ほぼ確実に英国人である。
ハリーは、99%英国人である。
5. 理由の裏付け
「3. 理由」には、それを裏付ける根拠が必要です。
仮に、根拠が「人から聞いた話」や「個人的体験」だけでは、信憑性が低く説得力に欠けてしまいます。
ですので、可能な限り信用するに足る情報源や引用元を記載し、理由の裏付けをします。
情報源・引用元は、国が発行する情報やその道の専門家、あるいは一般に広く認知された機関などにするのが望ましいでしょう。
6. 再反論
「主張」にはたいてい、特定の条件においては例外があり、反論がつきものです。
そんな、事前に予測される反論に「再反論」することで、きちんと「例外を加味した上で主張をしている」ということが伝わります。
では、さきほどの「ハリーは英国人である」という主張に、論理を補強する3つの要素を加えてみましょう。
事実ハリーはバミューダ島で生まれた。
だから、主張の程度たぶん、主張ハリーは英国人である。
理由なぜなら「バミューダ島で生まれた者は原則として英国人となる」と、
理由の裏付け英国の国籍法に定められているからだ。
再反論ただし、ハリーの両親がともに英国人でない場合や、ハリーがアメリカに帰化した場合は、この限りではない。
このように、「主張」「事実」「理由」の論理を補強することで、より説得力のある文章になっていきます。
くだらない主張でも「6つの要素」を意識して書いてみる
では、ここで実際に「6つの要素」を含めた文章を「唐揚げにはレモンではなく塩をかけるべきだ」という主張で書いてみます。
唐揚げにいきなりレモンをかけるヤツが許せん・・・!
というのも、実はこの前の会社の飲み会で、大好きな鶏の唐揚げを頼んだところ、同僚が有無をいわさずレモンをかけてしまったのだ。
「レモンかけてもいいですか?」という事前確認もなく、瞬時の出来事だったため、私は止めることができなかった。
気を利かせてレモンをかけてくれたのかもしれないが、私は、鶏の唐揚げは必ず「塩」で食べる派だ。
塩こそが、鶏の唐揚げ本来のうまみを最大限引き出し、最も美味しく頂ける調味料だと思っている。
食の歴史的な点からみても、塩は縄文時代後期~弥生時代にはつくられており、「人類最古の調味料」といえるほど、馴染み深いものだ。
一方、レモンが日本に渡ったのは明治のはじめ頃で、塩づくりよりもはるか後の話だ、年季が違う。
さらに最近では、「目玉焼きに一番合うのは塩である」と、科学的にも塩の良さが証明されているではないか。
ここまでくれば、鶏の唐揚げにも、レモンより塩が合うという事実は揺るがないだろう。
というわけで、これまで様々な論争を生んできた「目玉焼きに一番合う調味料は?」の議論は、「塩だバカ野郎!」と一喝することで一件落着ということでよろしいでしょうか!?
もちろん、ある程度の数の唐揚げを食べ、飽きてきたころに「味を変えよう」というケースであればかまわない、が、一口目は塩で頂くべきなのだ。
ということで私は、鶏の唐揚げにいきなりレモンをかけることには断固反対し、必ず塩で食べるのだ。
いかがでしょうか。
例えどんなにくだらない主張でも、「6つの要素」を意識して書いてみると、説得力がある文章に感じられないでしょうか?
まとめ
今回は「伝わる文章を書くために必要な6つの要素」を紹介しました。
もちろん、ただ「6つの要素」を知っただけで、友人が明日から突然レベルの高い文章が書けるようにはなりません。
知識や語彙を増やし、文章の作法を学んで継続的に記事を書き、腕を磨いていくことは少なからず必要です。
それでも、何も分からない状態から闇雲に書き進めるよりは、「6つの要素」という型を知ることで、より素早く「伝わる文章」が書けるよう成長していくのではないかと思います。
「伝わる文章」を学ぶためのオススメの書籍
ちなみに、今回の記事の内容である「6つの要素」と同様のことが書かれていて、ライティングを学ぶのにオススメの書籍を2冊紹介しておきます。
前半の3つの要素「主張・事実・理由」については、20歳の自分に受けさせたい文章講義という本の中に、以下のように記載があります。
論理的な文章の3層構造
- 主張……その文章を通じて訴えたい主張
- 理由……主張を訴える理由
- 事実……理由を補強する客観的事実
文章の中に“主張”“理由”“事実”の3つがあるか、そしてその3つはしっかりと連動しているかを、いつも意識する。
また、「人を動かす[超]書き方トレーニング」という本には、今回の記事で伝えた「6つの要素」が、名称こそ違いますが同様に記載されています。
実は、今回の記事内容のベースは、この書籍でも紹介されている「ディベートや議論で使うトゥールミンモデル」という論理が元になっています。
(P.137)トゥールミンロジックの基本は「データ」「ワラント」「クレーム」という三つの要素をしっかりと組み立てることです。
(P.137)ごく完結に要約すると、データ=事実、ワラント=根拠、クレーム=主張となるでしょう。(P.140)データ・ワラント・クレームに加えて、「バッキング(B論理)」「クオリファイアー(Q論理)」「リザベーション(R論理)」という三つの要素があります。
(P.141)これら三つは、三段論法の不適切さを補うトゥールミンロジックの真骨頂とも言える部分です。
どちらもオススメの書籍ですので、伝わる文章についてもっと詳しく学んでみたい方は、一度読んでおくと良いかもしれません。
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