今回の記事はプレゼンの極意はマンガに学べという本を読んで、思いたって書いたものです。
この本には「プレゼンとは相手に語る“物語”であり、人を惹きつける物語をつくるコツはマンガから学ぶことが出来る」ということが書かれていました。
そこで、人気マンガに共通するポイントを分析することで、本に書かれていたことへの理解が深まり、物語をつくるコツだけでなく、「さらなるノウハウを見つけだせるのではないか?」と思い、さっそくTSUTAYAで以下の漫画を借りてきました。
- 七つの大罪
- 宇宙兄弟
- GANTZ
- 永遠の0(ゼロ)
- 信長協奏曲
- ACMA GAME
- ましろのおと
- ハイキュー
借りたマンガは、「タイトルは聞いたことはあるが読んだことがなくアニメ化やドラマ化して人気がでているもの」にしました。
“人気がでている”ということは、以下の「物語を面白くするのに不可欠な4つの要素」を必ず備えているはずです。
- 謎
- 人間は謎をそのままにしておける程我慢強くない、謎があるほど、続きが読みたくなる。
- ピンチ
- 平坦で起伏がない物語では魅力がありません。
- クライマックス
- ピンチを乗り越えた先か、その話が終わる直前に山場として存在するケースが多い。
- 次回への期待感
- 主に「謎」や「クライマックス」を使って、次回も読みたくなるヒキをつくっています。
ということで、各作品の第一話だけ読んで上記4つのポイントを分析しつつ、「今後の展開」を勝手に予想して「物語をつくるコツ」を学び、新たなノウハウを見いだしてみようと思います。
※若干のネタバレを含みます。
1.七つの大罪
【作者】鈴木央 【出版社】講談社 週刊少年マガジン 【発売日】2013/2/15
第一話の1ページ目で読み取れること
場所が酒場であることと、主人公ぽい少年が剣を背負っていることから、世界観は「中世ヨーロッパ的な剣と魔法の世界」なところと推測できます。
第一話だけ読んで
- 違和感を覚えるところ
- ブタがしゃべっている
- ピンチ
- ヒロインが殺されそうになる
- クライマックス
- 大逆転で敵を倒す
- 謎
- なぜ主人公は子供の姿なのか?
- 刃が折れた剣でどうやって敵を倒したのか?
- なぜ史実では「七つの大罪」が悪で、「聖騎士」が正義の味方なのか?
- 次回への期待感
- 巨大な豚に乗ってどこへ行くのか?
第一話だけ読んで分かったことと今後の展開予測
主人公は、肝が据わっていて頼もしく「能ある鷹は爪を隠す」タイプ。
「過去、すごいことをやってきた」設定なので、今後の展開は、過去に主人公と繋がりのあった人物が登場することで、大きく膨らませやすいと考えられます。
また、バトルで超能力的な技・魔法を使用することは、世界観のおかげもあって、王道として理解しやすいです。
そして、謎は多めで、なぜ史実とは逆に「聖騎士」の方が悪者っぽいのか、なぜ主人公は子供の姿なのか、なぜブタがしゃべるのか?など、興味を引くには充分な内容です。
この作品の未来予測は、『ほかの「七つの大罪」と呼ばれる者たちともに、聖騎士と戦っていく』のではないでしょうか。
2.宇宙兄弟
【作者】小山宙哉 【出版社】講談社 モーニング 【発売日】2008/3/21
第一話の1ページ目で読み取れること
物語の世界観は現代日本。
「僕 誕生」とあることから、主人公は日本人の男。
第一話だけを読んで
- 謎
- UFOの存在
- ピンチ
- 会社をクビになる
- クライマックス
- 「火星に行く」と告げたところ
- 次回への期待感
- JAXAの一次審査を通過
第一話だけ読んで分かったことと今後の展開予測
主人公は、子供の頃の「宇宙飛行士になる」という約束を守れなかった兄の方。
そんな「兄よりすぐれた弟が存在」する、割とダメ人間な兄に対しては共感を覚えやすいところがありつつも、一話の終わりには「JAXAの一次審査通過」。
希望に満ちた、とても続きが気になる終わり方をしています。
未来予測は、もちろんタイトルの通り『兄も宇宙飛行士となり、兄弟で宇宙にいく』でしょう。
(これで宇宙飛行士になれなかったら、それはそれで予想外で面白いですが)
3.GANTZ
【作者】奥 浩哉 【出版社】集英社 週刊ヤングジャンプ 【発売日】2000/12/1
第一話の1ページ目で読み取れること
モノローグ(四角いマスの中のセリフ)が誰かのしゃべり言葉であり、「グラビアを見ている」というシーンがすぐ予測できるため、物語の舞台はおそらく現代日本。
第一話だけを読んで
- 謎
- 電車に跳ねられたのになぜか生きていた二人
- ピンチ
- 電車にはねられそうになる
- クライマックス
- 実際に電車に跳ねられてバラバラになる
- 次回への期待感
- 電車に跳ねられた直後、なぜか見知らぬ部屋に数人が集まっているという状況
第一話だけ読んで分かったことと今後の展開予測
主人公は、冷めた感じの高校生で、いわゆる「小悪党」的な性格をしており、読んでいて若干のいらだちを覚えます。
しかし、作品全体に漂う虚無感にはマッチしている印象。
第一話で、図らずも人助けをすることになり、その結果、電車に跳ねられてしまうことに。
その時、一緒に跳ねられた加藤という人物が、過去の主人公とどういう交友関係だったか多少気になりましたが、それ以上に「電車に跳ねられたのに生きていて部屋にいる」という状況の方が気になりました。
第一話から謎がどんどん出てくる展開なので、今後これらの謎をどのように回収していくかが気になります。
未来予測は・・・正直全然予想がつきませんが、『現在は死後の世界、もしくは生と死の狭間の世界で、生き返るため徳を積んでいく』ような展開になるのではないでしょうか。
4.永遠の0(ゼロ)
【作者】原作:百田尚樹 作画:須本 壮一
【出版社】双葉社 漫画アクション 【発売日】2010/07/28
第一話の1ページ目で読み取れること
「そんなに遠くない」昭和の第二次世界大戦期を想像させようとするシーンから、舞台は現代日本。
第一話だけ読んで
- 謎
- なぜ「期待のホープ」が司法試験に落ち続けているのか
- ピンチ
- 主人公の現状の、司法浪人状態
- クライマックス
- 過去の回想での、爺さんの母の涙
- 次回への期待感
- 「主人公にとっての起点となる」という第一話最後のモノローグ
第一話だけ読んで分かったことと今後の展開予測
宇宙兄弟の兄と同じく、「ダメ人間なところに共感を覚える」系の主人公です。
第一話では具体的な出来事や大きな事件はなく、本作品の核心となるであろうことは、「最後のモノローグで第二話へひっぱる」というジャブ的な展開にとどまりました。
他作品に比べ、少しスローペースな印象。
未来予測は、『祖父の戦争体験の回想がはじまっていき、それに感化された主人公が司法試験に受かるか、別の道をいく(自衛隊などに志願する)』のではないでしょうか。
5.信長協奏曲
【作者】石井あゆみ 【出版社】小学館 ゲッサン 【発売日】2009/11/12
第一話の1ページ目で読み取れること
世界観は現代日本で、主人公は、勉強のできない男子高校生。
第一話だけ読んで
- 謎
- どうしてタイムスリップしたのか?
- ピンチ
- 家臣に殺されかける
- クライマックス
- 「天下を治める」宣言
- 次回への期待感
- 信長としてどう生きていくのか、最後の「どうなるサブロー」というモノローグ
第一話だけ読んで分かったことと今後の展開予測
タイムスリップしていることや、本物の刀で切りつけられていることに対して、主人公の「焦りや戸惑いが非常に少ない」ところに違和感を覚えました。
しかし、主人公の「大物感」を出すために、あえて細かい心理描写を少なくしているのかもしれません。
それを裏付けるかのように、主人公は(いわゆるヘタレキャラなのに)、第一話のラストで、カッコイイことを言い「頼もしく感じる」というギャップがありました。
ただやはり、そういった頼もしい台詞を吐くに至った心の変化の過程が描かれてなかったので、少し展開が早いかな・・・」と感じたのも事実です。
未来予測は『主人公がハッタリをかましつつもキメるところはキメ、信長として生き、歴史通り天下を治めていく』ではないのでしょうか。
そういえば、織田信長のあざな(ミドルネーム的なもの)はサブロー・・・。
6.ACMA GAME
【作者】メーブ×恵 広史 【出版社】講談社 週刊少年マガジン 【発売日】2013/6/17
第一話の1ページ目で読み取れること
登場人物の格好から、世界観は現代日本。
タイトルに「ゲーム」と付くことからも、ギャンブルゲーム的なものの最中で、背後に「ガト」と呼ばれる悪魔っぽいものがいることから、超能力系ギャンブルバトル漫画であると予測できます。
第一話だけ読んで
- ナゾ
- 悪魔の能力と、これから行うゲームの内容
- ピンチ
- アクマの勝負に巻き込まれる
- クライマックス
- アクマが登場するところ
- 次回への期待感
- 今からまさに勝負が始まる
第1話だけ読んで分かったことと今後の展開予測
主人公は、頭脳明晰かつ容姿端麗、欠点は無く、頼れるヒーロータイプの人間。
さらに、高校生でありながら、大企業の社長というトンデモ設定の完璧超人。
主人公は、名探偵コ○ンのように、あらゆるジャンルの知識を網羅していそうです。
第一話は、「これから勝負が始まる」というところで終わってしまいましたが、今後のバトル中、それらの知識が活きてきそうな予感がします。
未来予測は、これからアクマの力を巡り(アクマの力をこの世から無くすために)、様々な敵と心理戦の色濃いギャンブルゲームバトルを繰り広げていくのではないでしょうか。
7.ましろのおと
【作者】羅川真理茂 【出版社】講談社 月刊少年マガジン 【発売日】2010/10/15
第一話の1ページ目で読み取れること
物語の舞台は、現代日本で青森(そのまんま書いてある)。
祖父(育ての親?)が春を目前に亡くなった。
第一話だけ読んで
- ナゾ
- 主人公の実家はどんな家庭だったのか
- ピンチ
- なぜか縛られて暴行されてる主人公
- クライマックス
- バンドの前座として演奏
- 次回への期待感
- 走っていく主人公(ユナのところ?)
第一話だけ読んで分かったことと今後の展開予測
主人公は内向的な性格で、基本、「自分から行動する」というよりは「機会の方から訪れる」という展開が少女マンガ的な印象。
また、主人公が方言なまりで地味なタイプのせいもあり、脇役の方に個性や魅力をもたせていると感じました。
ただ、主人公が、「タケトという男に縛られて暴行される」流れが、「無理やりピンチな展開をつくった」という感じになっていて少し違和感がありました。
(相当な悪党でもない限り、人を縛ったり腕を潰そうとしたりはしないはず・・・タケトがそこまでのワルという描写は無いように思いました)
未来予測は、『主人公がバンドを組むなどして、三味線奏者として成功していく』のではないでしょうか。
8.ハイキュー
【作者】古館春一 【出版社】集英社 週刊少年ジャンプ 【発売日】2012/6/4
第一話の1ページ目で読み取れること
物語の舞台は現代日本で、中学か高校のバレーボール部。
ブロックを「高い高い壁」とモノローグで語っていることから、主人公は背が低い?
第一話だけ読んで
- ナゾ
- ライバルはなぜ「王様」と呼ばれているのか?
- ライバルの中学校は何故敗退したのか
- ピンチ
- 主人公チームが試合に負ける
- クライマックス
- トスに追いついてスパイクを打つところ
- 次回への期待感
- 同じ高校にライバルが進学していた
第1話だけ読んで分かったことと今後の展開予測
第一話で、主人公が「バレーをするようになった理由の解説」から、時を経て中学3年生の最後の試合になり、メイン舞台である高校1年になるまで一気に話が進みます。
テンポは良いのですが、一気に話を進め過ぎている感じもしたので、あえて高校1年や中学最後の試合からスタートし、中学以前の出来事は回想として描いても良かったかも・・・と感じました。
そのように、物語上の年数が一気に進むため、全体的にモノローグによる説明が多いため、余計に客観的に見てしまったのかもしれません。
未来予測は、『仲間になったライバルとともに、高校バレーで全国制覇を目指していく』でしょう。
まとめ
ということで、8つのマンガの「ポイント分析」や「今後の展開予測」をしていったところ、ヒットする作品には恐らく、以下の4つの要素が含まれていることが多いのではないかと考えました。
- 壮大な目的がある
- 主人公たちの目的は、物語全体を通して一本の軸になります。
- ディティール(細部)のリアリティにこだわる
- マンガ自体はもちろんフィクションなのですが、細部にリアリティを持たせると、読者の知的好奇心を満たしやすい。
(例えば、この記事では紹介していませんが、テラフォーマーズでいえば、昆虫の生態や特徴などについては事実で、詳しく説明されている) - ライバルがいる
- 対立構造は、話を盛り上げるのにもっとも手っ取り早い手法です。
- 読者への意表をつく
- これは、言い替えれば「意外性がある」ことで、多くの場合、ピンチから逆転するクライマックスの際にあらわになります。
- 読者の共感を得る
- 例えば「人気キャラを褒める」ような内容を盛り込んだり、「ゲスな悪役を倒してスカッとさせる」ことで、読者の共感を得ます。
まぁ、マンガはこんなことをゴチャゴチャ考えて読むより、普通に楽しむのが一番です。
ということで、「ACMA GAME」の続きがとても気になってきたので、借りて読んできます!ε=┏ʕ ·ᴥ· ʔ┛
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