優秀な人ほど流出する企業ならそれは「逆選択」状態かもしれません。

現場を知らないワンマン・オーナー経営者がよくやってしまう「逆選択」と
「モラルハザード」について。

世の中の「取引主体」が持つ情報は平等ではありません。
そんな情報の非対称性によって引き起こされる問題に「逆選択」と「モラルハザード」があります。

「逆選択」の代表例としてアカロフのレモン原理があります。

アカロフのレモン原理

まったく同じ年式、車種、グレード、走行距離の中古車を乗り、
同じ日に売却にきたAさんとBさんがいました。

一般的な市場価値としてこの車は50万円の買取額があるとします。

Aさんの車は急発進、急ブレーキ、急ハンドルで内部は酷使され、
実質的な価値は30万しかありません、Aさんはこのことを知っています。

一方 Bさんは安全運転で大切にメンテナンスして乗ってきており、
自分の車には70万円の価値があることを知っています。

plcar.jpg

しかし、中古車屋さんはそれぞれの車に関して、
それらの十分な情報を持っていないため(情報の非対称性)、どちらの車も相場の
50万円で査定をしたとします。

すると、愛車の価値を知るBさんはその値段では売らず、
30万円の価値しかないとわかっているAさんは価値以上の値段を得られるため、
売却に応じます。

このようなことが続いた場合、中古車屋には実際の価値を下回る粗悪品、不良品とも
呼べるものだけが集まり、良質なものが出回らなくなります。
(レモン=Aさんの車=偽物の意、すっぱい!)(ピーチ=Bさんの車=本物の意、あまい!)

そうなると市場(業界)自体が疑いの目を向けられます。


レモン原理の解決策

解決策として、第三者格付けによる品質保障やフランチャイズによる品質の均一化
などがあります。
(ある意味で第三者の格付けだった「口コミ(ネット含む)」は、
最近ではサクラやアフィリエイターなどによるPPP(Pay Per Post≒広告)も
散見されるので、「本当に中立的な第三者かどうか」の見極めも大事になってきていますが...)

さてここで、

表題の「優秀な人ほど流出する企業」ですが...

現場や従業員の能力をよく知りもしない人事考課者などが、
一律50万円の給与でAさん、Bさんを雇っていたとします。

能力の高いBさんは自分が70万の付加価値を生んでおり、それを自分で理解している。
一方Aさんは自分が30万の付加価値しか生んでおらず、それを自分で理解している。

この場合、Bさんは過小評価され、
Aさんは過大評価されていることをそれぞれ自覚します。

plmoney.jpg

結果、Bさんのように過小評価されているものは、
プロとして自分の能力に応じた報酬を得られるところにいくでしょう。

つまり、会社を去っていき、
過大評価を自覚しているAさんのような能力の低いものばかりが会社に残り、
会社全体の能力が低くなってしまいます。
(もちろんこの会社にBさんが残る、給与以外の誘因要素があれば別です)

まさしくこれは考課者の「逆選択」ですね。

高い給与で能力の低いものを残してしまい、
企業の成長が鈍化、停滞してしまうという失敗した人事考課といえます。



また、同じく「情報の非対称性」が原因で起こる問題にモラルハザード(道徳的危険)があります。
こちらは取引主体間の利害関係の不一致が原因で起こるものです。


例として、
自動車保険の契約前では事故をしないように安全運転をしていたのに、
契約後は事故を起こしても保険が下りるため、乱暴な運転になることが挙げられます。
これをモラルハザード(道徳的危険)の問題といいます。

解決策としては、免責制度の採用や無事故継続割引=ノンフリート等級の活用があります。

等級は保険会社が変わろうとも引き継げますので
取引主体の利害関係の一致とともに、業界全体の清浄化にも
つながっていっていると考えられますね。


...と、「情報の非対称性」とそれにより起こる問題について書きましたが、
若干アカデミックなミクロ経済学も、まわりを見渡して考えてみると
随分身近な出来事にも存在していることのようです。

2013年09月26日 に更新・修正した内容

「レモン原理」の解決、中古車の第三者評価の具体策です。

中古車の品質、第三者が評価 販売テコ入れへ導入続々

コストも時間も結構かかりますが、それだけ、「自己評価」には信ぴょう性が低いということですね。
物事は多角的に捉え、主観も客観も集めて判断したいです。

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